最高裁判所第一小法廷 昭和25年(あ)1283号 決定 1951年2月22日
本籍並住居
和歌山市吉田一九五番地
馬力輓
加瀬田国一
大正八年一〇月二六日生
右に対する窃盗被告事件について昭和二五年四月五日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人加藤龍雄の上告趣意第一点について。
論旨は原判決は大審院の判例に違反するものである旨主張するのであるが、所論にいう大審院の判例なるものを毫も具体的に摘示していないから、原判決がはたして大審院の判例に違反しているか否かを判定するに由がなく、従つて論旨は明らかに刑訴規則二五三条に違反し不適法のものである。されば論旨は刑訴四〇五条三号にあたらないし、また、記録を精査しても同四一一条を適用すべきものと認められない。
同第二点について。
しかし、原判決が原審弁護人の被告人に刑の執行猶予を言渡すべきだとの控訴趣意を排斥したからといつて、原判決の量刑を甚しく不当であるとはいえないから、本件には刑訴四一一条を適用すべきものとも認められない。
よつて刑訴四一四条三八六条一項三号に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 澤田竹治郎 裁判官 眞野毅 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)